2008年12月1日月曜日

スペイン旅行・3日目 マドリッドからグラナダへ下る


朝6時ごろ起きてシャワーを浴び、7時半にホテルを出発。まだ真っ暗でだいぶ日本の感覚と違う。

歩いて数分のアトーチャ駅へ。ターミナル駅のせいか、金属探知機付きのチェックインゲートを通る。下りエスカレーターの左に停車しているのがわれわれの乗る特急だ。

スペイン北西部にある首都マドリッドから、グラナダへ向かい一路南下する。地中海を挟んでアフリカ大陸に近付く。 目的はただ一つ。この旅のハイライトになるであろう世界遺産アルハンブラ宮殿だ。



マドリッド-グラナダ間の都市間特急は「タルゴ」。残念ながらスペインの至宝AVEではないが、ワタクシは「鉄」ではないしそれほど気にしない。

車内は日本の特急と大差ない感じ。南欧の強烈な陽光を避けるためか、窓ガラスがかなり黒っぽい。

カフェカウンター車両があったので、炭酸水を買いに行く。次第に暇だなと感じ始めたころ、ふと携帯に電源を入れたら普通にアンテナが3本立っているではないか。僕は携帯にほとんど興味がないので、海外でそのまま使える機種だと知らなかった。会社にメール。


車窓に見えるのは一面のオリーブ畑だ。

平面斜面を問わず、荒涼とした砂地に規則正しくオリーブを植えてある。こう言っては何だが、短く刈り込んだ歯ブラシのよう。つまり異様な光景ということだ。

行程のほとんどは原野とオリーブ畑の中を走っていた。市街地には近寄らない。あらためて、大陸国の広さを実感する。

隣の線路では装甲車両も運んでいた。僕はミリタリーが割と好きだけれど、スペイン軍が使っている機種までは知らない。
AFVを目にしたのがきっかけで、とりとめもなくスペイン内戦について思いを巡らせる。
同じ civil war と呼ばれても、南北戦争とは重苦しさが違うな。その戦争の勝敗がどんな国家体制を導き出したかという結論がほぼ正反対だから。でも、それを気にするのも戦後リベラリズム的な考え方なのかなあ。



4時間くらいでグラナダに到着。地図で見ると、目指すコロナホテルは駅から近そうだったので、カートをガラガラと引きずって歩き出す。乾燥しているが日差しは強く、少し汗ばむ。
進行方向を巡って相方と意見が分かれ(2人とも方向音痴なので極めて不毛な議論だ)、おもむろにタクシーに切り替えた。
ホテルの部屋。繁華街というか、建物が密集したエリアに立つ。随分遠かったので、あのまま歩き続けなくて良かったなとほっとする。

洗面所。ビデはマドリッドのホテルにもあった。

しかし、マドリッドもグラナダもホテルに歯ブラシがなくて弱った。僕は日本では仕事カバンにすらトラベルセット(皮肉な名前だ)を入れているのに、今回は持ってきていない。
幸い、BA機内グッズの折り畳み式歯ブラシを持ってきていたのでそれを使う。この歯ブラシは植毛部分が大きくて、僕の感覚だと正直小型の靴磨きみたいだが、それでもBAさまさまだった。


一休みして街へ。旅行スタート以来まともな食事をしていなかったので、通りの角にあったレストランに入る。割と庶民的な感じだ。相方が片言のスペイン語で注文する。
よく言われることだが、スペイン人は外国人が例え片言でもスペイン語を話すとすごく親切にしてくれる。もっとも、そうなるとべらべらと話し掛けられるので、今度は何を言っているのか分からず往生する。
メニューはランチのコース。もろもろとした食感の魚介スープがおいしい。僕はメインにハンバーグ(!)。ケチャップがたっぷり付いたアメリカンな一皿だ。相方はスズキのソテーを食べた。
コーヒーで仕上げる。僕の飲んだエスプレッソは当たり前だが苦い。相方のミルクコーヒーのほうがおいしそうだった。
それはともかく、満足して歩き出す。

かつてイスラムのナスル朝が首都を置いたグラナダ。南部が駅やホテルのある下町で、アルハンブラ宮殿などがある北部の高台に向かってだらだらと坂道が続いている。
なお、同じ高台でも西側の丘陵地帯はアルバイシンという古くからの住宅密集地。さらに登ると、ジプシーの洞穴住居があるサクロモンテ地区に入る。

アルハンブラは翌日見学する予定。今日はアルバイシンを中心に、市街地をひたすら歩き回って南部スペインの雰囲気を満喫しようという趣向だ。
歩き出した始めは普通の都市的市街地。オレンジが普通に街路樹として植えられていて、もいで食べてみたい誘惑に駆られる。

中央の大通りから左に折れ、アルバイシン地区に向かうと途端に細い坂道がスタートする。
日本の山間地も真っ青、という街路の狭さ。9世紀ごろ、日本なら平安時代から街が形成されたようなので、車の通行なんて考えてあるはずがない。でも、しれっとした感じで商店のバンなんかが走っていく。

豪華さはないが、趣ある石造りの民家が建ち並ぶ。足元も当然石畳だ。その古い町並みは、アルハンブラ宮殿とともに世界遺産に登録されている。

地区中央のサン・ニコラス広場まで登っていくと、高台から谷を挟んでアルハンブラ宮殿を眺められる絶好の展望台があるという。われわれも一応そこを目指す。



道路はくねくねと住宅の間を抜けていく。
この坂道を歩くこと自体がわれわれの目的。乾ききった強い太陽光に、白い壁が映える。これぞスペインという感じだ。
しかし傾斜はきつく、すぐ汗が噴き出す。ベンチでひと息入れる。さすが高台の展望台を目指すのはしんどい。団体ツアーでここを歩かせたら、ガイドさんは客にボコボコにされること必至だなあ(笑)。
狭い路地を抜けたら、観光客が歩く少し広い通りがあった。グラナダは地方都市のせいか日本人観光客をあまり見かけない(少なくとも街中では)が、この辺りでカップルを一組発見。                                     

マンホールのふた。個人的にすごく気に入った。

途中、これもスペインの特色の一つ、タイル産業の工房を見付ける。
直売所をひやかしたが、相方は「イスタンブールに比べると素朴すぎる…」と難色を示し、何も買わなかった。良かった。タイル抱えて坂道歩かねばならんのかと思ったよ。

さらにだいぶ歩いた。
サン・ニコラス広場なんてとっくに過ぎたんじゃないかなあ、とつぶやきながら坂を登っていくと、不意に絶景が現れた。小高い丘を登り切ったらしい。
手前に見える家々は新興住宅地のもよう。こんな山の上まで開発が進んでいるのだろうか。

丘の反対側に回りこむと、アルハンブラ宮殿とサン・ニコラス広場がはるか下方に見えた。明日の宮殿見学本番に向け、周辺地区を歩くという予習はこれでばっちり。
夕暮れのグラナダを、1時間ほど歩いてホテルに戻った。途中スーパーマーケットで飲み物を調達する。夕食のため再び街へ出たが、店を選ぶのが億劫だ。スペイン人に交じるのに疲れたかも。二人で「ちょっと日和りますか」とうなずきあい、英語の通じる中華料理店でおいしく夕食を済ませた。

0 件のコメント:

コメントを投稿