2008年11月30日日曜日

スペイン旅行・4日目 アルハンブラ!

ホテルでビュッフェスタイルの朝食。ウインナーと卵関係が充実していて満足した。 朝8時ごろ始動し、タクシーを拾ってアルハンブラ宮殿へ。 

これは前の日にサン・ニコラス広場の後方から撮ったアルハンブラの写真(谷の向こう側)。少し見えづらいけれど、この写真に限らず、クリックしていただければ拡大できます。
各施設が高台上で南北に伸びた構成で、元来が要塞であったことを容易に想像させる。

今日は、最初に写真左側の離宮「ヘネラリフェ」を見学し、次いで真ん中手前の王宮、その奥の平たい「カルロス五世宮殿」、最後に右側を占める要塞「アルカサバ」を訪れる予定。

ところで、アルハンブラ宮殿の最大の特徴は、イスラム王朝時代とキリスト教国時代の建築が入り交じっていることだ。各部を巡るにつれてガラリと切り替わっていく空気感が、そのことを如実に物語っている。おおまかに言うと、
・9世紀~ キリスト教国時代(アルカサバという要塞を建てた)
・13世紀~ イスラム教国時代(王宮とヘネラリフェを追加)
・16世紀~ レコンキスタにより再びキリスト教国時代に(カルロス五世宮殿を追加)
というような感じ。グラナダはアフリカに近いスペイン南部にあるため、イスラム支配圏に属していた時代が長かったのだ。

早朝、まだ角度の低い日差しの中、ヘネラリフェから見学開始。 イスラム時代に建てられた夏の離宮だ。女性的で華やかな空間。

英語だとGeneral lifeと書くのだろうか?永遠の生を楽しむ宮殿ということかな、と勝手に想像してみる。
ヘネラリフェへ歩いている時、この旅行で初めて日本人団体客に出会った。ガイドのオジサンが、「あなたがた日本人ですか」と擦れ違いざまに話し掛けてきたのでちょっとびっくり。群馬県からの一行で、30人くらいの大団体だった。



ヘネラリフェの中庭。 11月なので花は少ないが、それでも菫などが可憐な姿を見せていた。

9時でも朝まだきの雰囲気。人も少なく、独り占め感があって楽しい。ただ、趣はあっても写真撮影には暗い。スピードライトを持ってきていないので、D70内臓ストロボにティッシュを巻いて即席のディフューザーにする。



宮殿の中は糸スギが植えられている。スギを刈り込んで門の形にしているのに驚き。植木職人の技だ。
王宮へ移動する。これもイスラムの建築物だ。やや奥まった部分にあり、崖に面している。後のキリスト教国時代に建てたカルロス五世宮殿によって押し込められてしまった感もある。
ちなみに、混雑防止のため王宮部分だけ入場時間が決まっており、30分刻みで入場させる。我々は間違えてアルカサバを先に見ようとしていたが、係のおじさんが注意してくれたので何とか制限に間に合った。 


王宮内部。高い吹き抜けの壁面を、アラベスク文様が一面埋め尽くしている。

他の部屋には、キリスト教徒の手によって部分的に改装されているところがある。正直なところ、手が入った部分はかなりプリミティブな仕上がり。現代ではともすればイスラムに対して後進的なイメージをもってしまうが、アルハンブラでは全く逆。文化レベルの差異のようなものを感じた。





壁の拡大。緻密な仕事だ。周りを見渡すと、扉など木製品にも同様に細かな彫刻が施されている。



この光景を目にした瞬間、あっと息を飲んだ。 個人的にはこの旅行でもっとも印象に残った場所。
王宮の中央部にある「アラヤネスの中庭」。中央に水をたたえた静謐な空間だ。植え込みに沿ってゆっくりと歩き、心ゆくまで楽しむ。

昼以降は非常に混み合うようだ。朝のうちにゆっくり鑑賞できて幸せ。


カルロス五世宮殿。レコンキスタが終了した16世紀前半に建てられ、王宮とは打って変わってルネサンス様式である。
外周は正方形の建物だが、内部は円周形の中庭になっている。上から見ると日の丸状だ。
事前にガイドブックを見た時は、外と中で同じ建物の写真だということに気付かなかった。



その円周形の中庭の様子。雲一つない空が抜けるように青い。一階二階ともに回廊になっていて散策できる。中庭を眺めていると、次々と観光客がど真ん中にやってきて、記念写真を撮っていた。

建物内部(スペース効率は悪いが)は博物館。なぜかエジプト文物展をやっていた。




アルカサバ。イスラムが侵攻してくる前の9世紀ごろからこの地に築かれていた要塞だ。これまでの建物に比べ、いかにも武骨で実用本位。屈強な兵士たちがうごめき合っていたのだろうなと思いを馳せる。

ちなみに、右手の木の下にあるあずまやはサンドイッチスタンド。ビール片手にくつろいでいる人も多くて魅力的。
相方が日本に携帯メールを打っている間に、僕はなぜかスペイン観光局の人からアンケートを求められる。


アルカサバの塔の一つから城壁を眺める。幾重にも重ねられた防御壁の構造が見て取れる。機能的だ。

イスラムの侵攻、あるいは後世のレコンキスタにおいて、この城壁でも激しい戦闘が行われたのだろう。





アルカサバ内部の壁。レンガと粘土をがさがさと固めた装飾の一切ない造りだ。

その簡素さが逆に美しい。









砦の最上部。各国からの観光客と思われる人たちが思い思いに眺め入っていた。
屋上には鐘楼があり、その脇にスペイン国旗やEUの旗が翻っている。

以上、結局6時間くらいかけてアルハンブラを堪能した。今思うと、もっと長くても良かったな。

ホテル近くに戻り、昨日から目を付けておいたレストランに入った。
オックステールの煮込みなどを食べて遅い昼ご飯。


 夜は古い市街地アルバイシンのナイトツアー&フラメンコ鑑賞だ。ホテルに迎えのバスが来たのは9時ごろ。スペイン人は本当に夜型だな。
各国からの13人が参加した。我々だけが東洋人。この地に初めて住みついた人の住居などを見て回る。ガイドはスペイン語のほか英語、ドイツ語、フランス語で説明があったが、スペイン訛りが強くて聞き取れなかった。
コンデジのクールピクスS600を持ってきたが、手ぶれ補正ONでもぶれる。

ちなみに、3日目の朝マドリッドのホテルを出る時、クロゼットにスプリングコートを忘れてしまった。気付いたのは特急に乗ってからだったのであきらめたのだ。スペインは想像してたより暖かくてほとんど支障なかったが、このナイトツアー中だけは少し寒かった。

続いてフラメンコ鑑賞。ホテルにチェックインした時、カウンターで参加を誘われて申し込んだ。フロントのおじさんというのがまたノリノリで、何とカウンター内で節を口ずさみながらステップを踏んでみせたのだ。これは見るしかあるまい、と思うよね。

ジプシーの住居だった洞穴を利用したフラメンコ酒場。カマボコ状の細長い洞窟で、内部は漆喰で固められている。天井からつり下げられた鍋類は、ジプシーが金属品修理で生計を立てていたことを象徴しているという。


壁際に並べられたいすに腰掛け、サングリアを飲む。
特に説明はいらないだろうけど、赤ワインをフレッシュフルーツジュースで割ったものです。
フラメンコはマドリッドやバルセロナなどの大都市でも見ることができるけれど、南部がやはりひと味違うのではないか。洞穴住居という舞台も気分を盛り立てる。

旅行中は二人ともカジュアルな格好だったが、相方は今夜だけはニットワンピース姿。僕もノータイながらボタンダウンシャツとジャケットを着用してみた。


フラメンコは、観客に服が触れるほどの近さで披露された。肉感的な肢体がくるくると回り、ガッガッと激しく踏み鳴らされるステップと哀感をたたえた踊り手の強いまなざしが観客たちの視線を奪う。

4、5人の踊り手が登場したが、若いお姉さんよりベテランのおばちゃんがやはり一枚上手。風格が違う。
そして、踊りを見つめる合間にも心に食い入ってくるのは、朗々と響く男の歌い手の声。途中「ブラボゥ、ブラボゥ!」と叫ぶ合いの手が舞台を盛り上げる。

一通り踊りが披露された後は、観客を数人指名して一緒に踊らせた。最初はうちの相方(笑)。その後、ドイツ人ぽい人や、アメリカ人らしき黒人のカップルなどが次々と踊る。にやにやしながら見ていたら、最後に僕におはちが回ってきた。やられた(汗)

ホテルに帰ったら、すでに深夜1時過ぎ。でも楽しかったな。

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